地元の西鉄バスを中心に、いろいろな地域のバス路線風景を記録していましたが、当方都合により過去記事は非公開になりました。西鉄以外の地域にもすぐ行きたくなるので、どこかで「九州路線バスの旅」とでも改名しようかと揺らいだこともありましたが、たぶんずっと「西鉄」の名前を消さずにいると思います。最終的に回帰するのは地元ってことでしょうか。でも子育てが終わったらどこかに移住したい気持ちもありますね。

2021年07月05日

西鉄貝塚線と並行バス路線の現状について

福岡市の北東郊を走る西鉄貝塚線には、2020年9月現在、以下の10駅が存在する。
貝塚 名島 (西鉄)千早 香椎宮前 (西鉄)香椎 香椎花園前 唐の原 (西鉄)和白 三苫 (西鉄)新宮

沿線は全体的に住宅地であり、宮前と花園前が施設名を冠するのを除いては、それぞれ近隣の地名を駅名としている。また周囲には多数の西鉄バス路線が走っており、貝塚線とは補完関係にある。しかし積極的に接続や連携がなされているとまでは言えない。

そこで西鉄貝塚線と同名、もしくは類似名のバス停を抽出し、駅との距離など相互の位置関係から、集約や拡散など何らかの法則性や、今後の発展に寄与する知見が得られるか考察するフリをするのが本稿である。

■貝塚(東区箱崎七丁目)
駅の出入り口直近に「貝塚駅」がある。発着するのは路面電車時代の伝統を残す「20」。2015年に「25」から改番された過去を持つが、千鳥橋から天神六本松を経る東側の経路は、1979年2月の路面電車廃止より変更がない。

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「貝塚」は「貝塚駅」とは別に、国道3号線上に立地する。20番台のバスが多数発着し、千早香椎方面への大動脈であるが、昨今は都市高速経由の便が増え、以前ほどの繁栄はない。

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■名島(名島三丁目)貝塚起点1.4km
駅の出入り口そばに「名島駅前」がある。香椎操車場跡地の再開発以降に路線開設がおこなわれており、「4」のみが停車する。

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「名島」は国道3号線上に存在し、貝塚方面からやってきたバスが三方向に分岐する交通の要衝であるが、いずれも都心部からの直通路線であるので、乗換需要はあまり想定されない。なお分岐の三方向はそれぞれ、名島駅方面の「4」、城浜団地方面の「22」「29」、3号線をそのまま御幸町方向へ進む「21」「23」「27」などとなっている。前述の「名島駅前」は、「4」において「名島」の隣接バス停である。

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■(西鉄)千早(千早四丁目)2.5km
駅構内にロータリーを有し、「千早駅」バス停が設置されている。ここを始発終着とするバスがあるため、ロータリー中央には待機場も存在する。

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「千早」は千早駅開業前から国道3号線上に存在しているが、千早駅から正面の並木公園を抜けて3号線に到達すると、そこにあるバス停は「名香野」である。「千早」は貝塚名島側ひとつ隣のバス停であり、「名香野」から400メートル離れている。なお「千早交差点」は、千早バス停そばにある。

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■香椎宮前(千早五丁目)
最寄りバス停は「香椎参道」であり、「香椎宮(しょうぶ園)前」バス停は、参道を経由してふたつ先にある。中間のバス停は「勅使道」である。これは「○○前」を名乗る際の、バス停と駅との期待値の差と考えられる。かといって。「バス停が「○○前」を名乗る場合は○メートルを超えると違和感を覚えるが、駅ならば○メートルまでは許容される」といった定量的規定があるわけではない。

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■(西鉄)香椎(香椎駅前二丁目)
「(西鉄)香椎」駅併設のロータリーに設置されたバス停は、「駅」を名乗らない「西鉄香椎」であり、南側の高架下をくぐる下原方面のバス停は、「西鉄香椎」バス停よりも駅から遠いにも関わらず「西鉄香椎駅前」を名乗る。さらに最近「JR香椎駅」なるバス停もすぐ東側に設置され、ややこしさに拍車をかけている。

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そもそも「香椎」バス停は、西鉄やJRの駅とは関係なく国道3号線上に存在しており、貝塚=名島=千早=(宮前)=香椎の幹線は、西鉄貝塚線と国道3号線のバスが「平行」ではあるものの、独立関係であると看做すほうがよさそうだ。

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■香椎花園前(香住ヶ丘六丁目)
線路が現3号線はおろか、旧3号線(現495号線)の経路からも外れ、ここは駅前に同名の「香椎花園前」バス停が存在し、遊園地である「香椎花園」の入場門も至近である。名島や香椎では想定しづらい、「貝塚から花園前まで電車に乗り、牧の鼻方面へのバス乗り継ぎ」という使い方も考えられる。

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■唐の原(和白四丁目)
線路は集合住宅沿いを走っており、駅は団地と九産大学生向けアパートとの境界のような位置関係である。「唐の原」バス停はJRの「九産大前」駅とは相互連絡できる距離感だが、「唐の原」駅はバス停から遠い。また大通りが見通せないので、「どこかから唐の原まで電車に乗り、歩いてバスに乗り換え」という傾向はまず起きないだろう。敢えて最寄りバス停を探すとしても「白浜」「大名」のちょうど中間地点である。

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■(西鉄)和白(和白三丁目)
JRの駅は隣接しているが、バス停までは距離がある。JR和白駅も以前は自由に行き来ができたが、現在はホーム同士を繋いでいた通路は閉鎖され、改札相互は踏切を渡らないと往来できない。ホームが隣接していた「西鉄電車の貝塚方面と、香椎線の西戸崎方面」の相互連絡が最も不便になっているが、「三苫から来てここで乗り換えて海の中道」などという需要がいったいどれだけ存在するのかは心許ないので、使用者の実質的な不利益は生じないのだろう。

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駅の最寄りバス停は「和白五丁目」である。もともとは「和白営業所」であったので、バス停付近が地域の中心のような雰囲気もあった。けれども「和白」が国道495号線沿いに立地し、高美台や大蔵方面、新宮方面、雁の巣方面と三方向に分岐・集約される拠点バス停のため、拠点性はそちらのほうが高い。駅からの距離と路線網を考えると、「和白まで西鉄電車で来て、和白バス停からバスに乗り換える」のが便利な地域は想定できない。だいたいの近郊は、バスだけで足るはずだ。

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■三苫(美和台三丁目)9.0km
高台の麓に沿って線路が敷かれているため、1階のホームから階段を上がって改札を抜けると、そこもまたバス停や住宅地が広がる立体構造の地形を実感する。

駅出入り口の目の前に「西鉄三苫駅」のバス停が存し、美和台(三苫と和白の複合地名で、三を美に変更)の住宅地が広がる。高低差のある土地なので、駅を接続点として近辺をバスが巡回していれば便利そうだ。しかし現実は、試験運行でミニバス路線が開設されたが、利用は目標値に届かず休止となっている。

規模は違うが、宗像市の日の里団地も似たような構造・状況である。自宅から最寄り駅までは車で送り迎え、というのが現代の主流なのだろう。そのため「西鉄三苫駅」バス停は、都心向けバス路線の待機/折り返し地点としての要素が強く、その運行途中で多少の地域内利用があるだけの状態に感じられる。

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■(西鉄)新宮(糟屋郡新宮町下府五丁目)11.0km
2020年10月をもって、接続する西鉄バス路線が廃止となってしまった。町内のコミュニティバスは存続しているので、地域連携はそれで充分なのだろう。旧3号線を走るバス路線まではひとしきり歩かねばならない。最寄りは「下の府」である。

西鉄貝塚線と並行バス路線の現状について

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「新宮」バス停は福工大前駅(旧筑前新宮駅)近くのショッピングモール脇に設えられており、都心方向だけ運用されている。商業的には中心地のひとつであることは間違いないが、町の代表名として無駄遣い感がある。最近はJRの「新宮中央」駅付近が開発されており、「26A」の運行系統やバス停の設置に、もう一工夫の余地を感じる。郊外向け「新宮」は必要ないのか、新宮中央駅を起終点とする旧3号線経由があると定時性が高まるのではないか、等々である。

西鉄貝塚線と並行バス路線の現状について

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このように、西鉄貝塚線の10駅には全て、同じ名称を冠したバス停が存在する。そのわりに貝塚線とバス路線は物理的にも精神的にも離れている地点が殆どであり、連携するというよりはそれぞれに運行している傾向が強い。限られたリソースを活用する観点からは、もう少し乗り継ぎなどで相互補完する検討がなされてもよいのではないか。現時点で画期的な策が思いついているわけではないが、今後の課題として考えてゆきたい。

以上(2020年10月寄稿)



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Posted by ちょんびん at 20:20 │福岡黄